(イ) 船体表面の外板の粗さ
今まで述べてきた摩擦抵抗は、滑らかな表面を持った船の場合であったが、表面が滑らかでなく粗い状態のときには、当然摩擦抵抗は大きくなる。
船舶の外板の粗さは、次の3つに分けて考える。
(8) 外板表面粗度
外板の表面が粗い状態で、これは細かい凹凸があり「ザラザラ」していわゆる砂粒粗度と、局部的には滑らかであるが、表面が大きく波を打ったような、いわゆる波状粗度に大別される。例えば、外板が製造上、または材科置場での保存上の理由から、表面が「ザラザラ」になったようなものは前者に属し、外板と肋骨の熔接のときに生ずる「ヤセ馬」状態は後者に属するものである。
(b) 構造粗度
1船体構造上の粗度のことで、リベットの頭、熔接線の峯、海水の取り入れ孔、排水口、防蝕亜鉛板等が含まれ、摩擦抵抗を増す原因となる。
(c) 船底破損(ファウリング)
建造後就航した船は、時日の経過とともに外板が汚れてくる。このために、摩擦抵抗は増加する。また、外板の汚れをドックに入れて清浄にしたとしても建造後の年数の経過とともに、多少の摩擦抵抗の増加を示す。この出渠後の日数の経過による船体の汚れに原因する摩擦抵抗の増加のことを、特に船底汚損による摩擦抵抗増加という。船底汚損の程度は出渠後の日数のほかに、就航航路、季節、停泊港の状況などによって、非常に差があり、北太平洋航路の定期貨物船で、出渠後6ケ月で約7〜10%の性能低下をきたしたという例もある。また、建造後の経過年数による運航性能の低下は、入渠をくり返したとしても、建造後の経過年数1年につき、約1〜2%という資料もある。上記3種の粗度のうち、前2者は、新造船についても当然考えられるものであって、この両者を合わせて、摩撮抵抗に対する粗度修正量という。
△RFまたは△CFの値は、その定義からすれば、当然正の数値であるが、実船の試運転結
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